探偵の嫌がらせ調査 - 内容、料金、依頼のポイント
皆さんは、日常生活の中で何者かから嫌がらせを受けた経験はありますか?
家の壁に落書きをされる、庭にゴミを投げ入れられる、車に傷をつけられる、騒音で安眠を妨害される……。
いずれも平穏な生活を脅かすものであり、許しがたい行為です。
また、学校でのいじめやストーカー行為なども、嫌がらせの一種だといえるでしょう。
嫌がらせ問題を解決しなければ、生活に支障をきたし、心を病んでしまうこともあります。
しかし、嫌がらせは秘密裏に行われるものなので、犯人はそう簡単に特定できません。
そこで頼りになるのが、探偵事務所の嫌がらせ調査です。
ここでは、嫌がらせ調査の内容や料金相場、依頼の際の注意点などについて解説します。
探偵の嫌がらせ調査とは?
最初に、探偵の嫌がらせ調査の概要を知っておきましょう。
目的は、犯人を特定し嫌がらせをやめさせること
探偵の嫌がらせ調査の目的は、犯人を特定し証拠を入手して、嫌がらせをやめさせることです。
嫌がらせは、誰にも見つからない瞬間を狙って行われます。
どれだけひどい嫌がらせを受けていても、犯人がわからなければ対処のしようがありません。
仮に犯人の目星がついたとしても、証拠がなければ相手を追い詰めることはできないのです。
また、嫌がらせの被害者は「しばらく我慢すれば、犯人も飽きて嫌がらせをやめるだろう」と考えることもあるでしょう。
しかし、これは甘い考えといわざるをえません。
犯人が被害者に強い執着を持っていれば、反撃がないのをいいことに、嫌がらせがますます激しくなる可能性があるからです。
結局、嫌がらせに対しては、積極的に動いて解決を図るのが確実だといえます。
精神的な苦痛が大きい場合は、犯人に慰謝料を請求してもいいでしょう。
最もよくないのは、あきらめて泣き寝入りすることです。
探偵の力を借りて、卑劣な嫌がらせに立ち向かってください。
嫌がらせに対して警察は動きにくい
嫌がらせを受けた時、大抵の人はまず警察に相談すると思われます。
しかし、多くのケースにおいて、警察は積極的に動いてくれません。
警察には「民事不介入」の原則があり、刑事事件として扱いにくい民間のトラブルには、あまり関わろうとしないのです。
特に嫌がらせは、近隣住民同士のケンカなど、ご近所トラブルが悪化した結果であることが珍しくありません。
そのため、警察としても「ご近所さん同士の揉め事に、公権力が介入するのはいかがなものか?」という抑制が働くのです。
これは、壁への落書きや植木鉢の破壊など、ちょっとした犯罪行為があった程度では変わりません。
また、警察は多くの事件を抱えており、被害規模の小さな事件にまで人員と時間を割く余裕がないという事情もあります。
放火や爆破予告をされたのならともかく、植木鉢を1つ破壊されただけで、警察は積極的に動くでしょうか?
被害届は受け付けてくれるかもしれませんが、大規模な人員を割くようなことはまずないでしょう。
つまり、嫌がらせ問題の解決において、警察は実力を発揮できないことが多いのです。
一方探偵は、被害の規模や事件性に関係なく調査を受け付けてくれます。
嫌がらせの解決において、最も頼りになる存在だといってもいいでしょう。
嫌がらせ調査には、高い調査力が必要
嫌がらせ調査は、どの探偵に依頼しても同じというわけではありません。
調査中に犯人に見つかってしまえば、犯人はすぐに逃走し、当分は嫌がらせを控えるでしょう。
嫌がらせの手段を、より見つかりにくいものに変更する可能性もあります。
これではトラブルの解決から遠のいてしまうのです。
また、嫌がらせは夜中や早朝などの人気の少ない時間帯に行われることが多く、これが調査の難易度を引き上げています。
人混みに紛れることができないので存在を気づかれやすく、相手の姿がはっきり見えないために写真撮影も失敗しやすいのです。
素人はもちろんのこと、能力の低い探偵にも務まるものではありません。
したがって、嫌がらせ調査を依頼する探偵は、十分に吟味する必要があります。
そのためにも、探偵の嫌がらせ調査の内容や、対応できるケースとできないケース、料金相場などについて詳しく知らなければなりません。
以下の項目で詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。
探偵が対応できる嫌がらせの種類
嫌がらせには、実に多くの種類があります。
世の中の変化や技術の発達に伴って、嫌がらせも多様化しているのです。
それでも、探偵は大抵の嫌がらせに対応することができます。
被害にあった時のために、探偵が対応できる嫌がらせの種類を知っておきましょう。
家やペットを狙ったもの
嫌がらせの中でも特に多いのは、家を標的にしたものです。
家の壁に落書きをする、庭にゴミを投げ入れる、車に傷をつけるといった行為により、精神的な苦痛を与えることを目的としています。
被害そのものは軽微だったとしても、毎日のように嫌がらせが続けば、被害者の負担は軽くはありません
また、ペットに対する嫌がらせも近い性質を持つといえます。
特に、屋外で飼育されることの多い犬は、嫌がらせに注意しなければなりません。
犬小屋の破壊や、爆竹を投げ入れてワンちゃんを驚かせるなど、方法はいくらでもあります。
もちろん、ペットに直接危害が加えられる可能性も否定できません。
最悪の場合、ペットが殺害されてしまうこともあります。
庭の池を汚されて鯉が全滅、というケースもあるでしょう。
ターゲットが飼い主に移る可能性も十分考えられますから、一刻も早く解決しなければなりません。
本人を直接狙ったもの
より危険性の高い嫌がらせとしては、被害者本人を狙ったものがあります。
いわゆるストーカー、つきまとい行為です。
外出中に被害者をつけまわすのはもちろん、家をずっと監視したり、盗聴器を設置したりする行為はすべてストーカーに当たります。
隠し撮り写真や手紙を送りつけることで、「お前を監視しているぞ」とアピールする行為も同様です。
ストーカー行為の多くは、男女関係のもつれがエスカレートして発生します。
殺人事件にまで発展したケースもあるため、自分が狙われているとわかったら、早急に対応しなければなりません。
ここまで悪質でなくても、単なる嫌がらせの目的で、ご近所さんや友人がストーカーと化すケースも考えられます。
いずれにしても個人間のトラブルが出発点ですから、警察はあまり介入したがりません。
やはり、探偵の力を借りるのが手堅いといえます。
中傷を目的としたもの
周囲の人たちに被害者の悪評を広めるのも、嫌がらせの一種です。
誹謗中傷のビラの配布は、その典型例といえます。
街中の郵便ポストに誹謗中傷のビラを入れて回れば、内容が事実かどうかに関係なく、被害者に関する悪い噂が広まっていくでしょう。
大きな交差点の電柱など、目立つ場所にビラやポスターを掲示する方法もあります。
仮にビラを回収・破棄したとしても、一度出回った情報の拡散を止めるのは簡単ではありません。
ビラがバラ撒かれたのが自分の家周辺だけでも、情報の伝播はさらに広範囲に及ぶ可能性が高いのです。
何度も繰り返されるようなら、必ず犯人を捕まえて謝罪と訂正を行わせる必要があります。
対応しにくいケースもある
これまでに紹介した嫌がらせは、いずれも探偵が対応可能なものです。
しかし中には、探偵の調査手法では対応が難しいものもあります。
いたずら電話
しつこくかかってくるいたずら電話は、とても鬱陶しいものです。
多くの場合は非通知でかかってくるため、やめさせるためには相手の正体を特定する必要があります。
ですが残念ながら、探偵には回線業者に対して開示を請求できる権限がありません。
一応、犯人の目星がついている場合は、ひたすらターゲットを見張るという方法もあります。
いたずら電話がかかってきた時に相手が電話をしていれば、犯人である可能性は高いでしょう。
しかし、相手がどこに電話をかけているのかを特定するには、相当接近する必要があります。あまり現実的ではありません。
ネット上での嫌がらせ
近年では、インターネットの発達やSNSの普及によって、ネット上での嫌がらせが大きな問題になっています。
小中学生が事件に巻き込まれることも多く、放置はできません。
匿名での誹謗中傷には対抗するには、サイトの管理者やサーバーの運営会社に請求し、犯人の個人情報を入手する必要があります。
電話の場合と同様、探偵にこれを可能とする権限はないため、対応は難しいのです。
SNSの情報をたどれば、犯人の個人情報を特定できるケースもありますが、探偵に依頼して行うべきかは疑問が残ります。
学校や会社での嫌がらせ
学校や会社でのいじめ・嫌がらせも、不登校や自殺につながりかねない深刻な問題です。
これらの施設は部外者が立ち入り禁止であることが多いため、探偵は調査をすることができません。
いじめの様子をICレコーダーで記録することはできますが、これは個人でも可能な範囲なので、探偵に依頼する意味が薄れてしまいます。
もちろん、探偵がまったくの無力というわけではありません。
いじめが学校の外でも行われているなら、その間だけでも探偵が見守ることによって、いじめの様子を撮影することが可能です。
いじめの起きている場所を絞り込めるという点で、探偵に依頼する意味はあると考えてください。
探偵の嫌がらせ調査の方法
探偵の嫌がらせ調査に用いられる主な方法は、張り込み・尾行・聞き込みの3種類です。
それぞれ役立つ場面が異なるため、状況に応じて使い分けられます。
探偵を信頼して調査を任せるためにも、調査の方法や使える状況を知っておきましょう。
家を狙った嫌がらせには張り込み
家や車、ペットへの嫌がらせを行う犯人は、必ず家にやって来ることになります。
このような状況で使われる手段が張り込みです。探偵に家を見張ってもらい、犯行の様子を写真や動画に収めれば、嫌がらせの動かぬ証拠となります。
もし犯人が知り合いなら、この時点で正体も特定できるわけです。
また、家の周囲に隠れる場所がなかったり、天候の関係で張り込みが難しかったりする場合は、防犯カメラを設置する方法もあります。
探偵の使用する防犯カメラは、市販のものに比べて性能が高く、夜間や遠距離からの撮影でも犯人の姿を撮影することができるのです。
毎回同じ場所で嫌がらせが発生している場合は特に有効でしょう。
また、中傷ビラの配布など、家以外で行われる嫌がらせの場合は少し難易度が上がります。
犯人の出現場所が一定ではないからです。
過去の嫌がらせのデータをもとに、再び出現しそうな場所を絞り込みましょう。
犯人の家の特定には尾行
張り込みによって犯人の姿を撮影したところ、見ず知らず人物だったというケースはよくあります。
また、外出中につきまとってくるストーカーに対しては、張り込みで対抗することができません。
このような場合に役立つのが尾行です。
嫌がらせを終えて帰る犯人を尾行すれば、犯人の自宅(住所)を特定することができます。
こうなれば、相手の素性もある程度把握できますし、調停や裁判を起こすことも可能になるのです。
ストーカーに対しても、外出中の依頼者を探偵に見守ってもらい、怪しげな人物が現れたらそちらを尾行してもらうという方法が使えます。
聞き込みが役立つケースもある
探偵は、一般市民からそれとなく情報を聞き出す、聞き込み調査も得意としています。
一見すると、嫌がらせ調査では出番がないように思えるかもしれません。
確かに、直接犯人の特定や証拠の入手には結びつきませんが、聞き込みが役立つ場面はあります。
それは、犯人が嫌がらせに及んだ事情を探りたい時です。
証拠をもとに犯人を追及すると、嫌がらせの事実を認めて謝罪しても、詳しい事情については話してくれないことがあります。
これでは、たとえ嫌がらせが終わったとしても、すっきりした気持ちで元の生活に戻れないかもしれません。
犯人の周辺で聞き込みをすれば、犯人の抱える事情がわかる可能性があるのです。
探偵の嫌がらせ調査の料金相場
探偵の嫌がらせ調査には、ある程度の料金がかかります。
中には、法外な料金を請求してくる悪質な探偵事務所もあるので、だまされないためにも適正な料金を知っておかなければなりません。
調査の料金相場と、料金が高くなりやすいケースについて見ていきましょう。
相場は1時間で1万5,000円程度
一般的に、嫌がらせ調査の料金は1時間ごとに設定されており、1時間につき1万5,000円程度が相場です。
これは浮気調査や人探し調査など、探偵の行う他の調査と大きく変わりません。
調査の内容にもよりますが、1時間で1万円〜2万円の範囲であれば、適正料金だと考えていいでしょう。
また、多くの探偵事務所では、使いやすいパック料金を用意しています。
「1日◯時間の調査を◯日間で◯万円」とか、「1ヶ月間の調査で総額◯万円」といったように、まとまった調査をする代わりに料金をサービスしているのです。
この場合は、時間あたりの料金が相場よりさらに下がる可能性もあります。
ただし、調査の料金は法律で決められているわけではありません。
基本的には探偵事務所が自由に設定できるので、絶対的な基準が存在しないのも事実です。
相場だけにとらわれず、相談時の探偵の様子や調査の内容などから、料金が妥当かどうかを判断してください。
徹底的に戦いたい時には時間がかかる
1時間あたりの料金単価が決まっている関係上、料金の大まかな金額は単価×調査時間で算出できます。
料金をできるだけ抑えたい場合は、調査時間を短くするのが1番ということです。
とはいえ、時間を短くしすぎて結果が得られなくなっては意味がありません。
実際のところ、嫌がらせ調査にはどの程度の時間がかかるのでしょうか。
調査期間が短くてすむのは、犯人の出現パターンが決まっていたり、毎日のように自宅に現れたりしているケースです。
この場合は出現のタイミングに合わせて、もしくは数日間の張り込みを行うだけで、嫌がらせの証拠を入手することができます。
もちろん、そのまま尾行して犯人の素性を突き止めることも可能です。
逆に、嫌がらせの周期が長かったり、出現パターンに規則性がなかったりする場合は、ある程度長い期間を見込んでおかなければなりません。
2週間に1回程度の嫌がらせなのであれば、最低でも2週間は調査期間を設けるべきなのです。
もちろん、調査初日に偶然犯人が出現する可能性もありますから、ある程度は運も絡むといえます。
そして、最も時間がかかるのは、高額の慰謝料請求や犯人の検挙(逮捕や書類送検のこと)を目的にしている場合です。
十分な数の証拠が必要となるため、一度嫌がらせの現場を押さえただけでは終わらず、長期間調査を行わなければなりません。
その分料金も高額になりますから、請求可能な慰謝料との釣り合いなどを考慮しつつ依頼してください。
調査員を増やすと料金も増額される
嫌がらせ調査に限らず、探偵の調査は複数人で行うのが原則です。
2人以上で入れ替わりつつ尾行すれば、犯人に気づかれる可能性は大きく下がります。
張り込みの場合も、1人がカバーする範囲が狭くなり、調査が楽になるでしょう。
聞き込みにしても、大人数で行った方が効率はよくなります。
また、嫌がらせの犯人が複数いる可能性も否定できません。
2人組の犯人が帰宅の途中で別れた場合でも、調査員が2人いれば両方を尾行できます。
犯人が怪しげな人物と接触した場合も、その人物を尾行する必要が出てくるでしょう。
このように、複数で調査にあたった方が、さまざまな状況に対応しやすくなるのです。
実際に投入される調査員の人数は、探偵事務所によって異なります。
「原則2人、それ以上は要追加料金」という事務所もあれば、「状況次第で人数を変える。4人程度までなら料金は変化なし」という事務所もあるのです。
多くの事務所では、人数を増やすと料金も増額されますから、大規模な調査を望むならより慎重に探偵を選んでください。
自力での調査との比較
嫌がらせは、被害者自身の周囲で発生するため、自力での調査も不可能ではありません。
防犯カメラも市販されていますし、夜中に眠ったふりをして犯人を待ち構えるのもできなくはないでしょう。
しかし、探偵の調査には、自力での調査にはない多くのメリットがあります。
特に重要な3つのメリットを紹介しましょう。
成功率の高さ
第1のメリットは、調査の成功率の高さです。
嫌がらせの現場を押さえる時は、犯行の様子を確実に撮影し、なおかつ犯人の顔もはっきりと写っていなければなりません。
嫌がらせが夜間に行われるケースが多いこと、さらに遠距離から撮影せざるをえないことなどが相まって、撮影の難易度はかなり高いものとなっています。
さらに問題となるのが、撮影後に犯人を尾行しなければならないケースです。
素人による尾行は非常に気付かれやすく、相手に撒かれてしまうことがしばしばあります。
ましてや、人気の少ない夜間であれば、簡単に感づかれてしまうでしょう。
かといって、気づかれるのをおそれる余り距離を取れば、今度は見失ってしまう可能性が高くなります。
また、犯人に見つかってしまった場合、その後の調査がやりにくくなることも忘れてはなりません。
尾行されていることに気づいた犯人は、しばらく活動を自粛するでしょう。
結果として嫌がらせは収まるかもしれませんが、これは一時的なものです。
犯人が嫌がらせの方法を変えれば、より面倒な事態になってしまうかもしれません。
探偵の調査は、これらの問題点をすべて解決してくれます。
訓練を積み、常に複数で行動する探偵の調査は、そう簡単に犯人に気取られません。
撮影に使用する機材も高性能なもので、犯人の姿をしっかりと撮影してくれます。
迂闊に自力で調査して失敗するよりは、最初から探偵に依頼する方が建設的なのです。
依頼者の負担減
第2のメリットは、依頼者の負担を軽減できることです。
自力で調査を行う場合、被害者は犯人が家にやって来るまで待っている必要があります。
ある程度時間が特定できるならともかく、いつやって来るかわからない犯人を待ち続けるのは、相当な負担となるでしょう。
何も起こらないまま朝を迎えれば、脱力することは間違いありません。
尾行する場合は、負担の問題がさらに顕著になります。
犯人に見つからないようにしつつ家まで尾行するのは、並大抵の集中力ではできません。
万が一見失ってしまえば、また別の日に尾行を行わなければならなくなります。
日常生活を送りつつこのような調査も行うのは、現実的とはいえないでしょう。
また、家への嫌がらせは家主の留守中が狙われる可能性もあります。
この場合、直接犯行現場を押さえることはできないので、防犯カメラの設置が唯一の対抗策です。
とはいえ、カメラは融通が利かないため、犯人の顔をはっきり撮影できるとは限りません。
もしカメラの存在に気づかれれば、犯人はそのまま帰ってしまうでしょう。
その点、探偵に調査を依頼すれば、依頼者本人の身体的・精神的負担はゼロです。
夜中だろうと留守中だろうと、探偵がしっかりと家を見張り、犯人を尾行してくれます。
日常生活を送りつつ嫌がらせ問題を解決するには、探偵の協力を得るのが確実でしょう。
身の安全を守れる
第3のメリットは、依頼者の身の安全を守れることです。
「自分で犯人を捕まえてやる!」と意気込むのはいいのですが、犯人が自分に敵意を持っていることを忘れてはいけません。
張り込みや尾行の最中に犯人に見つかれば、そのまま犯人ともみ合いになり、危害を加えられるおそれもあります。
特に、ストーカーを自力で捕まえようとする場合は要注意です。
つきまといから殺人事件に発展することは珍しくなく、犯人は刃物などを持っているかもしれません。
また、ストーカーを刺激することは嫌がらせの激化にもつながるため、中途半端なことはするべきではないのです。
そして、張り込みや尾行の最中は、自分自身が不審者に見られてしまう可能性があります。
探偵なら、尾行や張り込みを法律によって認められているため、身分証を出せば警察も見逃してくれるでしょう。
しかし、素人だとそうはいきません。
犯人を捕まえるどころか、自分自身が警察のお世話になってしまっては、笑い話にもなりませんよね。
嫌がらせ調査の目的は、嫌がらせをやめさせて平穏な生活を取り戻すことです。
その過程で、被害者自身がさらなる危険に晒されることなどあってはなりません。
安易に行動してもリスクを増やすだけですから、プロである探偵に依頼しましょう。
警察や弁護士との違い
嫌がらせ問題の解決において、頼りになるのは探偵だけではありません。
警察や弁護士の力が必要になる場合もあります。
この三者はそれぞれ得意分野が異なるため、使い分けが重要です。
警察、弁護士、そして探偵の使い分け方を見ていきましょう。
犯人を逮捕できるのは警察だけ
警察の特徴は、何といってもその強力な捜査権限です。
条件さえ満たせば、怪しい人物への職務質問や自宅への立ち入り調査を行い、最終的には検挙することも可能です。
特に検挙は、探偵や弁護士には絶対にできないことなので、犯人に刑事罰を与えたければ警察を動かす必要があります。
先に解説したように、警察は嫌がらせ問題には積極的に関わろうとしません。
しかし、被害が大きくなり検挙の条件が整うと、警察はすぐに動き出します。
犯人が特定できており、十分な証拠もそろっていれば、検挙に持ち込むことは十分可能なのです。
結果として不起訴になったとしても、警察に犯行の事実を把握されてしまった以上、犯人が嫌がらせを繰り返す可能性は非常に低くなります。
抑止力に関しては、警察の右に出るものはいないといっていいでしょう。
嫌がらせの内容が悪質で再犯が心配される場合は、最終的に警察を動かすことを目標に行動してください。
慰謝料請求は弁護士が頼り
弁護士の得意分野は法律事務です。犯人への慰謝料請求や嫌がらせに対する警告は、法律に則った形で行う必要があり、素人では正確な書類が作成できません。
少しでも不備があると、法的な効力を発揮しなくなってしまうため、ミスは許されないのです。
このような書類は、弁護士に作成を依頼するのが適切だといえます。
また、弁護士が最も頼りになるのは、話し合いで折り合いがつかず調停や裁判になった場合です。
法律の専門家である弁護士を代理人に立てれば、犯人との交渉を有利に進めることができるでしょう。
特に裁判においては、相手も弁護士を立ててくる可能性が高いので、あらかじめ弁護士に依頼しておくことをおすすめします。
ただし、弁護士は探偵のような張り込みや尾行を行うことができません。
これらの行為は「弁護士倫理」に反するものとされ、日弁連の定める「弁護士職務基本規程」によって禁止されているからです。
少なくとも、証拠の入手や犯人の特定は、弁護士以外の力を借りて行う必要があります。
証拠の入手は探偵の得意分野
これまでにも解説してきたように、探偵の長所は圧倒的な行動の自由度にあります。
民事不介入の原則に縛られる警察や、弁護士倫理に拘束される弁護士と異なり、事情にとらわれず動くことができるのです。
最も気軽に相談できるのが探偵であり、最終的に頼りになるのも探偵だといえます。
では、探偵の弱点は何なのでしょうか?
それは、警察や弁護士のような権限を一切持っていないことです。
犯人の逮捕や書類送検、犯人の自宅の捜査、慰謝料請求などに関わる書類の作成、調停や裁判での(有償での)代理行為、裁判に必要な情報の開示請求。
いずれも探偵は行うことができません。
探偵の強みは、自分の足を使った調査にこそあるのです。
以上の点から、嫌がらせ調査においては「探偵が証拠を集め」「弁護士が書類の作成や調停・裁判での代理行為を担当し」「警察が犯人の検挙や警告を行う」という流れが最も理想的だといえます。
3つの職業の特徴を理解することが解決への近道です。
探偵に嫌がらせ調査を依頼すべき状況
ある日突然嫌がらせが始まると、多くの人は不安に陥り、どう対応していいのかわからなくなりがちです。
探偵の調査という解決法があることを知っていても、「これは探偵に相談すべきなのか? それとももうしばらく様子を見るべきなのか?」と判断がつかないこともありえます。
ここでは、探偵に嫌がらせ調査を依頼すべき状況を考えてみましょう。
警察が動いてくれない時
原則として、嫌がらせの被害はまず警察に届けることをおすすめします。
たとえすぐには動いてくれなくても、事情を把握しておいてもらえれば、証拠が集まった時に動かしやすくなるからです。
また、事態が被害者の想像よりも悪く、早急に警察が対応しなければならない場合もあるでしょう。
その確認のためにも、まずは警察への相談が必要なのです。
相談の結果、警察は動けないということがわかれば、いよいよ探偵に依頼することになります。
この時警察には、動くためにどのような条件が必要なのかを聞いておいてください。
それはすなわち、探偵に調べてもらうべき情報だからです。
ただ「警察は頼りにならない!」で終わらせることのないようにしましょう。
嫌がらせを受ける理由に心当たりがない時
嫌がらせが始まっても、原因や犯人にまったく心当たりがないことがあります。
理由もわからないまま正体不明の人物から嫌がらせを受けるのは、相当な精神的苦痛となるでしょう。
これでは対応のしようがないので、犯人を突き止める必要があります。
問題は、犯人の意図が想像できないことです。
強い憎悪を持って動いている可能性もあり、自力での調査は危険が伴います。
警察が動かないのなら、探偵に調査を依頼して自分の安全を確保しつつ、犯人の正体を探りましょう。
なお、少しでも犯人の可能性がある人物がいるのなら、事前に探偵に伝えておいてください。
その人物の顔写真を入手しておくことで、調査が楽になります。
嫌がらせをしに現れた段階で「あいつだ!」とわかれば、わざわざ自宅まで尾行する必要がありませんからね。
目星をつけた人物が無実を主張する時
嫌がらせは、何の前触れもなく始まるものばかりではありません。
犯人や動機が推測できる場合もあります。「あいつが犯人に違いない」と考え、直接抗議をしに行く人もいるでしょう。
しかし、相手が素直に嫌がらせを認める可能性は低いといわざるをえません。
証拠もないのに追及したところで、無実を主張されて終わってしまいます。
もちろん、抗議によって相手が嫌がらせをやめる可能性はあるでしょう。
とはいえ、相手がそのまま素直に引き下がるとも限りません。
むしろ、嫌がらせの方法がより巧妙になり、証拠をつかむのが難しくなる場合もあります。
絶対にばれないという自信がある限り、多くの犯人は嫌がらせを継続するものなのです。
何より、本当に相手が無実の場合は、余計にトラブルを悪化させることになりかねません。
相手が無実を主張してきた時は、それ以上無理に追及せず、探偵に調査を依頼しましょう 。
できれば、証拠がない状態での直談判は避けることをおすすめします。
嫌がらせかどうかわからない時
日常生活の中で、奇妙な出来事が起こった経験はないでしょうか?
誰かの視線を感じる、庭木が不自然に折れている、郵便物がなくなるっている、ブロック塀の上に土がついている。
これらはすべて、何者かが自分の周囲を嗅ぎまわっていることを示しています。
ストーカーかもしれませんし、嫌がらせのための下調べかもしれません。
しかし、多くの人はまさか自分が嫌がらせのターゲットになっているとは考えないものです。
実際、本当にただの偶然や勘違いかもしれません。
とはいえ、何も対応せずに生活を続けるのは不安ですよね。
そんな時は、遠慮なく探偵に相談してみましょう。
異変の発生している場所を調査すれば、嫌がらせかどうかを確かめることができます。
嫌がらせ調査を依頼する探偵の選び方
嫌がらせ調査においては、探偵選びがとても重要です。
依頼する探偵を選ぶ時点で、調査が成功するかどうかが決まるといってもいいでしょう。
では、具体的にどのような探偵を選べばいいのでしょうか。
以下のポイントに注目してみてください。
開業の許可と、行政処分を受けていないことは必ず確認
身の回りの調査をしてもらう以上、依頼する探偵は信頼できる存在でなければなりません。
つまり、合法的な探偵であることが最低条件です。
日本には、正式な届出が行われているものだけでも、5,000社を超える探偵事務所や興信所があります。
逆に、届出を行っていない探偵事務所も相当数あるのです。
探偵事務所を作ること自体は比較的簡単で、都道府県の公安委員会に申請し、許可を得れば開業できます。
認可された探偵事務所には許可番号が与えられますから、公式サイトなどで確認してください。
無許可で開業している探偵は存在自体が違法な上に、非合法な手段で調査を行う可能性も高いので、絶対に依頼してはいけません。
また、過去に違法行為を行って摘発された探偵には、営業停止などの行政処分が科されます。
このような探偵に依頼するのは危険なので、やはり避けるべきです。
都道府県警の公式サイトで行政処分のデータが確認できるので、依頼前に見に行ってみましょう。
過去の実績が最も重要
探偵の能力を最も客観的に評価できるのは、過去の調査実績です。
解決してきた依頼の件数は、そのまま探偵の能力の優秀さ、経験の豊富さを示しています。
実績は公式サイトや情報サイトなどで公開されていることが多いので、ぜひ確認してみましょう。
ニュースやバラエティ番組の制作協力の実績も参考になります。
また、探偵事務所は開業自体が簡単なこともあり、浮き沈みの激しい業界です。
10年も経営が続けられれば、十分優秀な探偵事務所だとされています。
そこで、公式サイトで事務所の設立年を確認してみましょう。
10年以上前にできた探偵事務所なら、信頼性は高くなります。
見積もりを比較すると安全な探偵を選べる
探偵に依頼する前に必ず行っておきたいのが、見積もりの比較(相見積もり)です。
ほとんどの探偵事務所では、依頼前の相談および見積もりの作成を無料で行なってくれます。
複数の事務所から見積もりを取って比較すれば、最も安価な事務所を選ぶことができるわけです。
とはいえ、ただ安い事務所を選べばいいわけではありません。
調査料金は、調査員の給料や探偵事務所の維持費など、さまざまな用途に使われます。
料金が安すぎる場合は、ほとんどお金を使わない=まともな調査を行わない探偵である可能性が否定できないのです。
見積もりの料金が極端に高いor安い探偵事務所は、候補から外してしまいましょう。
もちろん、調査の計画や投入される調査員の人数も重要です。
大切なのは調査を成功させることですから、料金の安さだけにとらわれず、総合的に判断しましょう。
弁護士事務所と提携しているとなおよし
探偵事務所は、近隣の弁護士事務所と提携していることがよくあります。
調査のあと、必要に応じて弁護士事務所に依頼者を紹介することで、弁護士への相談をスムーズに行えるようにしているのです。
嫌がらせ調査は、犯人への警告や慰謝料請求などで弁護士を頼る機会も多いので、弁護士事務所と提携している探偵に依頼すると効率がよくなります。
嫌がらせ調査のあとに行うこと
嫌がらせ調査が無事成功しても、それで話が終わるわけではありません。
問題を解決するためには、入手した証拠をもとに行動を起こす必要があります。
平穏な生活を取り戻すためにはどうすればいいのでしょうか。主な解決法を見ていきましょう。
相手と直接話し合う
最も基本的な解決法は、犯人と話し合って嫌がらせをやめさせることです。
証拠を提示すれば、ほとんどの犯人は嫌がらせの事実を認めるでしょう。
必要なら、犯行に至った経緯を聞き出し、二度と嫌がらせを行わないことを約束させてください。
この際、口約束だけでは嫌がらせが再開するおそれがあります。
そこで、念書を作成して犯人に責任を負わせましょう。
念書には、謝罪の言葉と二度と嫌がらせを行わない誓い、日付、サイン、押印などを盛り込む必要があります。
できれば近所の公証人役場に持ち込んで、公正証書にしてください。こうすれば、念書の内容が社会的に保証されます。
なお、犯人と話し合いを行う際は、誰か「味方」を連れて行った方がいいでしょう。
追い詰められた犯人が、暴力を振るってくる可能性もあるからです。
犯人への牽制や念書の作成も考慮し、弁護士に同行してもらう(もしくは代理に立てる)ことをおすすめします。
内容証明郵便を送る
嫌がらせの犯人は、被害者にとって恐怖の対象です。
「話し合いなど無理、顔も見たくない」というケースも少なくありません。
また、犯人がよく知る人物だったため、顔を合わせづらい場合もあるでしょう。
そのような時に役立つのが、内容証明郵便です。
郵便局が内容を証明してくれるのに加え、受け取った時点で中身を確認したとみなされるため、逃げ回ることができなくなります。
嫌がらせをやめなければ法的手段に訴える旨を書類にまとめ、証拠とともに内容証明郵便で送付してください。
書類を弁護士に作成してもらうとさらに確実です。
慰謝料請求を行う
精神的苦痛が大きく、嫌がらせをやめさせるだけでは納得できない場合は、慰謝料請求を行うのが有効です。
嫌がらせの慰謝料の相場は、被害の大きさによって変動しますが、50万円〜300万円ほど。
証拠さえあれば取ることは難しくなく、犯人にかなりの経済的ダメージを与えることができます。
それに加え、再犯を抑止する効果がある点にも注目しましょう。
たとえ念書を作成しようと、直接的なダメージがなければ再び嫌がらせが行われる可能性があります。
しかし、一度慰謝料請求をしておけば、「まだ続けるなら、こちらももう一度慰謝料を請求するぞ」と犯人を牽制できるのです。
原則請求するくらいのスタンスでいいでしょう。
調停・裁判を行う
犯人があくまでも嫌がらせを認めなかったり、慰謝料の金額で折り合いがつかなかったりした時は、話し合いだけで解決することができません。
そのような場合に行われるのが調停です。
調停は、裁判所に届け出て行う公的な話し合いで、第三者である調停委員を交えて行います。
結論は裁判の判決と同等に扱われるので、拘束力は高めです。
ただし、調停はあくまでも話し合いの延長であって、必ず決着がつくとは限りません。
また、相手が出席しなければ調停を開くこともできないのです。
調停でも問題を解決することができなかった時は、裁判に進むことになります。
なお、調停を飛ばして裁判を行うことはできません(調停前置主義)。
裁判は調停と異なり、裁判官が判決を下してくれるため、決着は必ずつけられます。
十分な証拠が集まっていれば、負ける可能性はまずありません。
争点があるとすれば、慰謝料の金額でしょう。より高額な慰謝料を取りたければ、証拠を多めに集めるのに加えて、いかに多大な精神的苦痛を被ったのかを主張してください。
なお、調停や裁判を行う際は、弁護士を代理人に立てることをおすすめします。
個人での話し合い以上に法律の知識が絡んでくるので、依頼者が自力で戦っても納得のいく結果が得られない場合があるからです。
できれば、話し合いを行う前の段階で弁護士に相談しておくといいでしょう。
警察に届ける
犯人が嫌がらせを認めた、慰謝料請求もした。
それでもやはり、犯人には刑事罰を与えなければ気がすまない。
そのような時は、警察に被害届を出し、犯人を検挙してもらうことになります。
あらゆる解決法の中で、最も犯人に与えるダメージが大きく、再犯の抑止力も高い方法です。
犯人の家に警察官が入っていけば、ご近所さんにも知れ渡るでしょう。
嫌がらせを刑事事件として扱ってもらうためには、いくつかのポイントがあります。
第1に、嫌がらせの内容が悪質で被害が大きいこと。
第2に、嫌がらせが反復して行われていること。
これらの条件を満たせば、警察も「ご近所トラブルの域を超えている」と判断し、動いてくれる可能性が高くなるのです。
そのため、検挙を目的とするなら、調査は長期間行って多くの証拠を集めましょう。
さらに、壁への落書きなどの器物損壊が発生しているなら、具体的な被害額を算出してください。
慰謝料請求の場合と同様、自分がいかに身の危険を感じたのかを主張すれば、警察も事態を重く見てくれます。
ただし、検挙は犯人を社会的に追い詰める行為です。
最終的に不起訴になったとしても、犯人との関係を修復するのは難しくなるでしょう。
相手がストーカーや見ず知らずの人間ならともかく、以前は仲のよかったご近所さんなどであれば、刑事事件にするのを見送るべきかもしれません。
お互いの将来のことを考え、冷静に判断してください。
まとめ - 探偵とともに嫌がらせ問題を解決しよう
嫌がらせは、ほんのささいなきっかけで始まることもあります。
犯人にとっては「ちょっとしたいたずら」かもしれませんが、被害者にとっては日常の崩壊に他なりません。
放置すれば嫌がらせが加速するおそれもありますから、早い段階で解決することが大切です。
探偵の力を借りて確実に嫌がらせの証拠を入手し、平穏な日常を取り戻してください。
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